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神智学 教えの紹介(3―6) 


ブラヴァツキー夫人の人生と著作



ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー夫人(1831-1891 神智学協会の創設者の一人)は、西洋世界の思想に対して大きな衝撃を与えた注目すべき女性でした。

当時ブラヴァツキー夫人は、自らの超感覚的知覚のすばらしい能力、率直で歯に衣着せぬ性格、および偽善と偏狭に対して勇敢に攻撃する性格を持つ、論争好きな人でした。ブラヴァツキーは現在でもなお「新しい思想」の先駆者として、好奇と注目を集めています。ブラヴァツキー夫人の大いなる形而上学の知識は、直接的または間接的に世界中のせんさく好きな人々の精神に影響を与えており、ブラヴァツキー夫人の著作に、具体化されています。



ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーはロシアの貴族の家系に生まれました。ヘレナ・ブラヴァツキーは幼年期の始めのころから、意のままに心霊現象を生み出す能力を持っていて周囲の関心を引きつけてきました。しかし、彼女は、そのような心霊能力を自分の利益のために使用することに興味を抱くことはなく、その心霊能力を支配する自然の原理と法則に対して興味を抱きました。彼女は形而上学的伝承の教えの学徒となり、秘密の知識を求めて、チベットを含む多くの国へ旅しました。これらの旅は、19世紀の女性の一人旅としては、並外れたものすごい旅でした。



1870年代、ブラヴァツキー夫人は米国のニューヨークに来て、1875年にヘンリー・スティール・オルコット氏、ウィリアム・クアン・ジャッジ氏や他の人達と共に神智学協会を組織しました。1878年に、ブラヴァツキー夫人は、米国籍を取得して米国国民になりました。ブラヴァツキー夫人は米国国籍を得した最初のロシア人の女性でした。1879年に、ブラヴァツキー夫人とオルコット大佐はインドへ移り、そして1882年に、マドラスの近郊のアディヤールに神智学協会の本部を設立しました。



この神智学協会の本部は、現在世界の70カ国に支部を持つ神智学協会の国際本部として存在しています。1885年にブラヴァツキー夫人は、ヨーロッパに住居を移し、英国のロンドンに移住しました。そのロンドンで大作『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』を書き上げました。この『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』や他の著作の中の知識の多くは、ブラヴァツキー夫人が初期の旅行で係わりを持った東洋の霊的師匠から受けたものでした。




○初期の著作と『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』

ブラヴァツキー夫人(,H. P.ブラヴァツキー、HPBとも表記されることがある)は、自らの多くの著作を通じて、様々な哲学、世界の諸宗教、東洋と西洋の智慧、象徴体系、秘教哲学、これらのことを人生において実践するこについての広大な知識を人々に分け与えました。ブラヴァツキー夫人は、数多くの著作を残した作家で、夫人の筆から、様々な話題に関する記事が新聞、雑誌に確実に提供されました。これらの著作は、完全に索引のつけられた『ブラヴァツキー全文集 』(全15巻)として集大成されています。



ブラヴァツキー夫人による最初の主要な著作は、『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』(全二巻)でした。『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』は1877にニューヨークで出版された時、センセーションを巻き起こし、発売後2日間で、初版の1000部を完売しました。その後7ケ月で、第3版が印刷されました。



『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』は、古代の神秘と現代科学、神学への鍵という複題がつけられており、第1巻は、科学が絶対に確実であるかどうかについての反対意見を扱い、第2巻は、神学についての反対意見を扱っています。第1巻、第2巻ともに、古代人が現代の我々には部分的に忘れられてしまった智慧を持っていたことを示しています。



しかしながら、『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』は、その複題が示す以上のことがらが含まれています。例を挙げると、ブラヴァツキー夫人は、ピタゴラスやプラトンによって発展がなされた物質と諸力についての見解や、諸聖典の神秘的解釈であるユダヤ教の学者により発展がなされたカバラの宗教哲学までも提示しました。



ブラヴァツキー夫人は、諸宗教の文献における神話の叙述、魔術の諸相、古代エジプトの著作、古典哲学、世界宗教、その他の多くの主題について議論を提示しています。『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』の序文でブラヴァツキー夫人は、本書は「古代の普遍的宗教であるヘルメス哲学の認識を請願するものである」と述べています。





○『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』

ブラヴァツキー夫人の最大の著作は、『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』です。この『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』という本は、1988年に大きな2巻本として出版され、第一巻は、宇宙の起源と発生の研究を取り扱っており、第二巻は、人類の起源と発達の研究を取り扱っています。



この『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』という著作は、『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』において提示されたテーマをさらに詳述しており、この著作には、この著作の目的を表す科学、宗教、哲学の総合という副題がつけられています。ブラヴァツキー夫人は、『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は啓示として書かれたものではなく、むしろアジアの大宗教やキリスト教以前の宗教と哲学の聖典の形で表れているものや、世界各地に散らばった数千巻の聖典の断片を集めたものであることを明らかにしています。



さらに、ブラヴァツキー夫人は自分の著作が独断的に解釈されることを強く拒みました。『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』の読者には、人類共通の経験と理性の唯一の光に照らし合わせて、様々な源泉から来ている『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』の思想を学んでいくことが求めらます。『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は、宇宙と人間に関する広大な計画と生命が何千もの形で存在する言われている、顕現した可視の世界と背後の不可視の世界に関する進化の広大な計画を概説しています。




『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は、3つの根本的な論題に基づいています。

第一の根本的論題。唯一の編在、永遠、無際限、不変の原則。これについては、どんな推測もできない。人間の構成概念の力を肥えており、人間によるいかなる表現も比喩もこれを限定し、小さく見せてしまうだけであるからである。この原則は、思想の届く範囲を越えている。


第二の根本的論題は、無際限な広がりとしての全宇宙の永遠性です。それは「周期的に顕現と消滅を繰り返す無数の宇宙の遊び場」です。

第三の根本的論題は、すべての魂と普遍的最高魂と根本的同一性です。後者の普遍的最高魂は未知の根源の一面であり、また普遍的最高魂の火花であるすべての魂による義務的な巡礼の旅は、周期の法則とカルマの法則に従って肉体化身の転生の周期を通じて行われます。



『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』には、多くの聖典からの引用がありますが、主にジャーンの書という大古の解釈本の原稿に基づいています。ジャーンの書の詩節(スタンザ)を理解することは容易ではありません。しがしジャーンの書の詩節(スタンザ)は、学ぶ意志のある者には、休息期の後の宇宙の再覚醒といった宇宙の進化の崇高な叙述、形体の分化、宇宙の形成の過程、地球上における人類の出現、我々人類の初期の進化などを明らかにします。



『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』を読解することは簡単な作業ではありません。しかし読者が『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』を徹底して調べるにつれて、ブラヴァツキー夫人の仕事の大きさが明らかになってきます。『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』に接する人は誰でも、著者のブラヴァツキー夫人の学識と偉大なる知識に新たな尊敬の念を持つことでしょう。『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は初版以来100年以上経ていますが、『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』の深い知識と智慧を学ぶ何千もの学徒を惹きつけています。



『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は、様々なバージョンがあり、学識ある著名人の方々の紹介文と感想のついたソフトカバー、詳細に索引と参考文献から成る第三巻を含んだ版が出版されています。『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』は、こうした主題に関する最終的な言葉としてのものではなく、こうした思想を学ぶものが自由で探究心を持ち熟考するようにする刺激として、神智学の学徒にとって主要な原点とし存在し続けています。




○他の著作

『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』と『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』のほかに、ブラヴァツキー夫人は、それより短いいくつかの著作を著作を残しています。

そのうちの一つ、『神智学の鍵』は、特に実生活に対する神智学のかかわりあいを扱った、神智学の思想と哲学の価値のある紹介をしている著作です。『神智学の鍵』は、私達はどういう存在であるかという点と、どのように私達が周囲の世界に関わりあっているかという点に焦点を当てて、質問とそれに対する答えという形式で書かれていす。



ブラヴァツキー夫人は、学識と多数の著作を生み出したことで知られているだけでなく、また霊的洞察と弟子道の短い著作でも知られています。『沈黙の声』は、東洋の古い古典の翻訳で、霊的啓明の道を求める人達へ提示された数々の箴言(金言)への説明と注釈を含んでいます。


『沈黙の声』の霊的智慧と慈悲心は、ブラヴァツキー夫人がこの古代の詩を英語の詩に翻訳する際に本来の詩的表現を保った著述力によって、明確に描かれています。『沈黙の声』は、初版が19世紀の後半に出版されて以来、様々な版と各国の言語で出版されています。『沈黙の声』は、この著作が持つ詩的表現と霊的力のために世界中で愛読されています。『沈黙の声』の文章をここに数行を掲載します。


「汝自身が道となる前には、汝は道に旅立つことはできない。」


「蓮華が朝日を吸収するために自らの花の中心を傾けるように、汝の魂を、人々のすべての苦痛に耳を傾けるようにせよ。」


「苦しんでいる人が、自分の目から苦痛の涙を拭い去るより前に、強い太陽の光がその人の苦痛の涙を乾かしてしまうことがないようにせよ。」


「しかし、その人から苦しみの原因が取り除かれるまでは、その人の涙は流れるままにしておき、決して拭い去ってあげることはするな。」


「自然を助けて自然と共に働け、そうすれば、自然は汝を創造主の一人とみなして敬礼するであろう。」


「精神(マインド)は、反射している間に塵を集めてしまう鏡のようなものである。我々の幻影の塵を吹き飛ばすには、魂の智慧の穏かな微風が必要である。」


「善の法則の輪は、迅速に動き、日夜、収穫の籾を挽く。価値のない籾殻は、黄金の穀粒から分けられて、製粉から除かれる。カルマ(因果応報の法則)の手は、善の法則の輪を導き、その回転はカルマ(因果応報の法則)の心臓を打ち鳴らす。」


「親切の種を蒔き、その実を収穫せよ。慈悲の行為を怠ることは、恐ろしい罪の行為となる。」


「汝は、愛の行為を怠るのか? 愛の行為を怠ると、汝の魂は、解脱を得ることはできないであろう。涅槃に達するためには、人は自覚に達しなければならない。自覚は、愛の行いの結果である。」


「日の当たる場所から出て影の場所へと行き、他の人のために日の当たる場所を作れ。」


「人類に良いことをもたらそうとして生きることが第一段階である。6つの栄光ある美徳*を実践することが第二段階である。」
*六波羅蜜


「教師の数は多いが、大師の魂、即ち宇宙魂は一つである。大師の中に生きよ。大師の光線は汝の中にあり。人々はすべて大師の光線の中に生きている。故に汝は人々の中に生きよ。」


「見よ、くれないの光が東の空を満たす。天界と地上をつなぐ賞賛のしるしである。四重の顕現した諸力から、愛の賛歌が響き出る。燃え上がる火、流れる水、良い香りのする地、突進する風から起こる賞賛の声。自然のすべての声無き声が、千万の諧調となって響き渡る。一人の巡礼者は、対岸から帰還せり。すべての存在に平安あれ。」



ブラヴァツキー夫人は、古代の智慧によって夫人と同時代に生きた人々に霊的覚醒にもたらし、自らの人生を人類への奉仕に捧げました。神智学と呼ばれる神聖なる智慧は、苦しんでいる我々人類の同胞に慈悲心を吹き込み、そして悲惨な状況を軽減するだけでなく、他のすべての存在との基本的統一を知らないという悲惨さの原因を取り除こうとする利他主義を実践する思想を提供しています。

ブラヴァツキー夫人の人生と著作は、完全にこの目標に向けられています。





神智学出版社によって出版されているブラヴァツキー夫人の著作


『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』 索引付き ブラヴァツキー著(第一部 宇宙発生論 上だけ訳出済 それ以外の部分は未邦訳)

『アイシス・アンヴェールド(ヴェールを剥がれたイシス女神)』(未邦訳)ブラヴァツキー著

『沈黙の声』 ブラヴァツキー著 竜王文庫

『神智学の鍵』ブラヴァツキー著 竜王文庫

『ブラヴァツキー全文集 』15巻(未邦訳)

『ブラヴァツキー書簡集』(未邦訳)





さらに学ぶための推奨本

『ブラヴァツキー夫人  現代神智学運動の創設者、ブラヴァツキー夫人の偉大な人生と影響』シルビア・クランストン著 (最良かつ完全な伝記)(未邦訳)

『ブラヴァツキー夫人の秘教的世界。 現代の謎の人物の人生への洞察 』
ダニエル・コールドウェル編著 (ブラヴァツキー夫人の知人の手記の選集)(未邦訳)

『ブラヴァツキー夫人とシークレット・ドクトリン(秘密教義)』バージニア・ハンソン編著(ブラヴァツキー夫人の世界の思想への貢献を研究を集めた著作)(未邦訳)

『ブラヴァツキー夫人とシークレット・ドクトリン(秘密教義)の思い出』コンスタンス・ウォッチメイスター伯爵夫人著 (ブラヴァツキー夫人の親しかった人による回想録)(未邦訳)